[日々雑記] 萩尾望都 『スター・レッド』 - 2011.06.20 Mon


[Novel/Comics] 小川洋子『ミーナの行進』他 - 2011.02.20 Sun

買ったものを積んでしまっている今日この頃。今月も読書感想は少なめです。


■小川洋子 『ミーナの行進』

 とりあえず、序盤から感じていた"この子が死んで終わりだったらやだなぁ"というのは裏切られて良かった。何しろ作中には様々な「死」や「終わり」が散りばめられているし、それに対して主人公がどう感じたか、ということはこの作品で大きな位置を占めていると思うから。この作品がある種の喪失による幼年期の終わりを描いた作品なのは確かだけれど、それが10~20年後の現在と連続性をもって描かれている点が良いと思う。

 この主人公ほど幼い頃の特別な記憶というものがない僕にとって、当時の記憶は断片的なものでしかなく、どちらかというと軽いトラウマじみた記憶のほうが強く残っていると思う。10代の頃は環境が変わるごとに、"自分の立ち居地や性格を変えよう"とか思ってたりしたこともあって、今の自分は普段10歳前後からの連続性を感じることは少ないけれど、それでもまぁ、当時の記憶は今の自分の性格をつくる一要素にはなっているだろう。

 この本に描かれている10歳前後の記憶はとても眩しく、それと繋がっている今は心強く安心感を感じさせる。ただ、それを自分に照らし合わせると、それは必ずしも安心感だけでなく、不安感と少しの感傷の混ざった、微妙な心持にならざるを得ない。

 そんなことを考えさせるこの作家はやはり好きなほうの作家なのだと感じる。


■吉田秋生 『櫻の園』

 本当は中原監督による最初の映画版を見たいのだけれど、レンタルにもなく中古はプレミア価格なので見るチャンスがないまま今に至っている。とりあえず原作を読んだ。

 章ごとに別に人物にスポットを当てていく。前の章では表面的な描写、ほのめかすだけの描写にとどまっていた、その人の内面が描かれていく。どの人物もより魅力的に、見方が変わっていく。それらが文化祭の劇の初日前というわずかな時間に収束していく構成は、確かにめちゃくちゃ巧い。彼女たちのこの劇は見たいと思ってしまう。

 細かな描写はなるほどと思わせる説得力があるし、漫画的なデフォルメで描かれている部分さえ、実写に置き換えても想像できてしまう。実際の女子高の風景なんて知らないのに、こうして感じてしまうリアリティはどこから来たんだろう。これを実写映画にしようというのはよく分かるな。

 もともと志村貴子あたりのテーマのつながりで読んでみようと思ったこともあり、最終章である「花嵐」が僕は一番好きだった。志水さん目線で百合的文脈はあるけど、これ倉田さん目線だとそこまで行ってないよね。その辺の距離感がとてもいいです。

[Novel] 浅暮三文『ダブ(エ)ストン街道』 他 - 2011.01.26 Wed

 この1ヶ月は読んだ本が少ないです。まだ書いてない映画感想なんかは何本かあるんだけれど。


■浅暮三文『ダブ(エ)ストン街道』

 どっかでお勧めされてたのを見て、変わったタイトルに惹かれた。主人公がよくわからない土地に行って彷徨うというストーリー紹介を見て、なぜか平沢進の『ハルディン・ホテル』という曲を連想したりもしてた。実際、イメージが被るとこもそうでないとこもあったが、それはそれ。

 非常に好みな雰囲気の小説だった。不思議の国のアリスも混ざってるなぁと思うんだけど、大人が不思議の国に迷いこんでしまったら、という感じだ。赤い影の正体には、あれ?そういう世界観なのか、と一瞬思ったけど、そういう世界だったのだ。

 どの人物も妙ちくりんで好ましい。ダブ(エ)ストンとは実際のところ、僕らの住むこの世界なんだろう。だから最後の主人公の生き方の選択はとても素敵だ。


■芦奈野ひとし『ヨコハマ買い出し紀行画集』

 中古でプレミアついてたけど、比較的良心的な価格のを見つけ購入。いい。画集として大きい絵で見ると、改めてこの人絵うまいなぁと思った。リアル寄りではない描き方なんだけれど、人も風景と同じく一筆書きみたいな柔らかな線の組み合わせで描かれていて、それにも関わらずちゃんと『人』なんだよね。

 自分で絵を描くとき、大きいサイズになるとバランスが崩れやすかったりする。ちゃんと骨格から勉強して描けばデッサンとしてはまともにはなるだろうと想像はできるけど、この人みたいな絵はセンスだよなぁと思う。

 やっぱり大きな絵で見るのはいい。とても柔らかい気持ちになります。 

[Novel/Comics] 萩尾望都『ポーの一族』 他 - 2010.12.07 Tue

 先月読んだ作品の感想などを。読書感想欄はどうも月1ペースがしっくりくる気がするな。

 以下続きにて↓

[Novel/Comics] 米澤穂信『遠回りする雛』 他、感想 - 2010.08.18 Wed

■米澤穂信 遠まわりする雛

 収録作のひとつのタイトルでもありながら、短編集全体を表しているようなタイトルがいい味(その場合は遠回りする雛たち、という感じか)。ようやく文庫化されたので読みました。僕は、この人の作品をミステリというより青春小説的な側面で好きなので、今回の作品は非常に好み。

 というか、作中の主人公じゃないが、「しまった」という感じですよ。このシリーズはもっとライトな人間関係を維持していくんだと思っていたから油断してました。某ハチクロ的表現をするなら、しまっておいた青春スーツを無理やり引っ張り出されてしまって恥ずかしー、的な。

■村田蓮爾 PRISMTONE

 画集です。買おうか迷っていたのですが、厚さの割りに安かったんで買ってみたら大当たり。この人の描く人物の中では、デフォルメの効いた少女顔よりリアルな大人の方が好きです。かっこよすぎる。しかし、顔の好みはともかく人物デッサンの安定感は凄いです。詰め込めるだけ詰め込んでる造りの画集なので、絵を描くにはすごく参考になりそう。何度も見返してしまう。

■冲方丁 マルドゥック・ヴェロシティ1

 マルドゥック・スクランブルはしばらく前に読んでかなり思い入れがある小説。今秋の映画化を前に読み返して、やはり好きだと思った。映画版、楽しみだなぁ。で、その流れで未読だった続編を読み始めた。出ているのは知っていたのだけれど、本屋で最初の1ページの文体のとっつきにくさを見て、後でいいか、と思いながら今まで来てしまったわけです。

 今回ちゃんと読み始めたら、文体は直ぐ慣れた。そしてやはり引き込まれる。さっさと続き読も。

■豊田徹也 アンダーカレント

 こちらは漫画です。なんとなくネットで見つけて雰囲気に惹かれて買ってみた。良い。銭湯を舞台にしているお話というと、僕の中ではNIEA_7が思い起こされたりもするわけですが、まったく別物で、それでいて少し郷愁の入り混じった印象は共通しているようでもあり。こういう淡々として、それでいて後に余韻と引っかかりが残るような話好きです。こういうのを考えられる人はすごいなと思う。

 何気にヒロインの友人のフルネームが「菅野よう子」って。作者がファンなのか。予期せぬところで名前が出てきてニヤリ。

■森博嗣 自由をつくる 自在に生きる

 珍しくエッセイを読んだ。そもそもスカイ・クロラやS&Mシリーズから感じられる森博嗣氏のものの見方はすごく僕にはしっくりくる。そうした考え方は多分社会の中ではマイノリティだし、それを通すことは(通そうと思うことは?)なかなか難しい。そんなわけで、それを少なからず実践している(と僕には思える)森先生の考え方から刺激を受けたかった。

 これまで小説から感じてとっていた内容に以上に共感する僕ではあるが、こうして改めて文章にして突きつけられると、その難しさを感じざるを得ない。とりあえず実践します、とは全然言える自信がないわけだが、読んで良かったと思う。ゆっくり消化していこうと思う。

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