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[名作アニメレビュー] 灰羽連盟 - 2009.08.25 Tue

 極めてプラトニックなファンタジー。映像作品や小説の中には、「あー面白かったー!」「これは神!」と騒ぐより、何となく静かに受け取って心の片隅にしまっておきたくなる作品がありますが、これもその1つ。


 背中に灰色の羽、頭に光輪をもつ「灰羽」と普通の人間が共存する「グリの街」。灰羽の新生子ラッカは、そこでの仲間たちとの暮らしに幸せを見出す。しかし、そこは決して楽園ではなかった―――。

作   品   名 総合評価 テーマ
構 成
脚 本
キャラクタ
動 画
演 出
背 景
美 術
音 楽
灰羽連盟 8.8 10 10
2002年アニメランキングへ


   前半、スタジオジブリアニメを連想させるほのぼのファンタジーっぽく始まりますが、この作品の本質は後半、ある少女の罪と救いをテーマにした物語。原案である安倍吉俊先生の個人的な体験がベースになっているということですが、見事に普遍性を持った物語に昇華していると思いました。

 ここで描かれる救いの形自体は、できた大人(or強い人)にとっては「弱さ」「甘さ」と捉えてしまう類のもの。しかし、そこで描かれる痛みは多くの人が一度くらいは感じたことのある感情だと思いますし、現在進行形で感じている人もいることでしょう。だから、正面きってその「弱さ」と向かい合い決着をつけたこの作品のラストに、僕は感動しましたし、凄いと思います。

 …とまあ、こんなことを思い入れたっぷりに書いてる時点で、僕が「できた大人」じゃないことをカミングアウトしてるも同然なわけですが(汗)。それは置いておきつつ、とにもかくにもこの作品、もっと多くの人に知って欲しい作品です。



 この作品の魅力のひとつに世界観の作りこみがあります。そもそも天使をモチーフにした「灰羽」ですが、羽は生々しく背中から生えてきます(このシーンは圧巻!)し、光輪は鋳型で焼いて作ります。第1話でこれらのシーンを見て、僕はこの作品が只者ではないぞ、と思い、見続けることを決めました。

 この後も羽が寝るとき邪魔になったり、冬は手袋ならぬ羽袋をつけたりと、生活感を感じさせる設定が満載。ファンタジーでの定型を外すようなそれらの設定は、作品世界をより身近に感じさせてくれます。一方、安倍吉俊先生の原案絵のイメージを活かした背景美術は独特の色彩で美しく、こちらに関してはまさにファンタジー作品はかくあるべき!、と感じさせるもの。

 音楽も印象的な使われ方をしています。大谷幸さんはかなりたくさんの作品を手がけていますが、僕にとってはこの作品のアコースティックな音楽が最も印象的。作中で流れるピアノのテーマ「Ailes Grises」はあまりに作品と結びついていて、聴くだけでじわっときます。



 この作品で唯一欠点を挙げるとするなら、ところどころ尺が足りない感じを受けるところでしょうか。特に気になったのは最終話のいくつかのシーンで、余韻を感じさせる前に場面が切り替わってしまうところ。何かこう、号泣の一歩手前でストップかけられているような感覚だったり。

 一視聴者の意見ではありますがもし、ブルーレイで出しなおすことがあるなら、最終話だけでも尺調整して1~2分伸ばして欲しいところ。先日発表されたserial experiments lainのBD-BOXはかなり手が入っているらしいですし。いや、そうでなくともブルーレイ出たら多分買いますけど。ジェネオンさん、是非是非よろしくお願いします。


 続き↓にて、この作品について考察してみたいと思います。
ネタバレ注意!
■考察1 クウの不在 ラッカの罪とは? 

 この作品を見ていて途中「あれ?」と感じたのが、夏の終わりにクウが巣立ちの日を迎え、ラッカが1ヶ月以上それを引きずって不安定になること。そこまでクウとラッカの関わりがそこまで深く描かれたわけではありません。だから、まだそこまで親しくなっているわけではない彼女がいなくなることについてラッカがショックを受けることが不自然な気がしたのです。

 しかし、ラッカの立場から考えてみると、何となくわかる気がします。ラッカは初めて知るこの街を皆が優しい楽園のような場所だと思っていた。無意識の内に、そうであって欲しいと願っていた。そしてそんな世界ならば「仲間がいなくなる」ことは「とても寂しいこと」のはずだった。

 しかし街の人も、これまでクウと長く過ごしてきたオールドホームの仲間たちさえも、それを淡々と受け入れている(ように見える)。自分はこの世界で仲間たちと過ごして感じた幸せは、表面上のものに過ぎないんじゃないか。この世界は優しく見えていたけれど、実は誰も自分のことを大して気にかけていないんじゃないか。

 この後の展開を考えるに、この世界に来る以前もラッカはそういった感情に捉われたことがあったものと推測されます。それはラッカという少女の性格から来る、いわば業のようなものかもしれません。しかし、少なくともこの時点でラッカ自身はその不安感の正体に気づかない。ラッカは自分のそんな感情を、いなくなったクウに縋ることで誤魔化してしまう。自分だけはクウがいなくなって寂しいと、自分に言い聞かせる。クウのせいにしてしまうのです。

 おそらく、それがラッカが「罪憑き」になった原因なのだと思います。



 考察2は後日追加?予定です。

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● COMMENT ●

こんにちは

うなずきながらレビューを読ませていただきました。興味深い考察ですね。

自分もラッカの落ち込み度に違和感を覚えたのですが、ラッカが灰羽になる前に同じような別れを経験しており、それがトラウマのようになっているものだと解釈していました。

考察2を楽しみにしています。

Re:

長文を読んでいただき、ありがとうございます。

灰羽は何かを暗示するようなシーンが多いので、色々な解釈ができるのが面白いですよね。ラッカの落ち込みについては、クウとの仲良し描写の尺が足りなかっただけという考え方も成り立ちますけど、それじゃ味気ないので今回の考察のように考えてみました。

考察2については、書く内容がまだまとまっていないので、気長にお待ちいただければと思います。


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