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スカイ・クロラシリーズ再考 第3回 - 2014.02.16 Sun

3-1 『クロラ』『クレイドゥ』の時系列について、出来事からの考察

 『クレイドゥ』の主人公が草薙水素であることは、相良とのやりとりを経てキルドレに戻ったとされていることから明らかですが、さて、再考Re第1回を踏まえて、『クロラ』『クレイドゥ』の流れを考えてみると、『クロラ』を経て『クレイドゥ』に至ると考えたほうが様々なことに説明がつきやすいと思われるのです。

時系列再考にあたって

 これら3点は物語上でも重要な要素と思われ、それが一切作中で説明されていないと考えるより、『クロラ』がその説明であるとしたほうが自然ではないでしょうか。『クロラ』は最終巻ですが、位置づけとしては空白部分を明かす種明かしの章だったのではないかと思えるのです。

3-2 『クロラ』『クレイドゥ』の時系列について、公式情報の検証

 しかし、ネット上の考察等を見ていると、公式で時系列上『クロラ』が最後と明言されている、という記述がいくつか見受けられます。ダ・ヴィンチ2008年8月号のインタビュー記事がその根拠のようなので、入手してみました。以下引用。

 本シリーズには全体を貫く大きなトリックが仕掛けられている。第1作『スカイ・クロラ』が、時間軸上では最後に位置するエピソードであるということが『クレイドゥ・ザ・スカイ』刊行前に明かされたが、そのことも物語世界を複雑にする要因になっている。

 「『スカイ・クロラ』を最初に書いたことに他意はないんです。これ1作でもう続編はかけないだろうと思っていたから、観念して最後の部分から書いてしまった」

 前半はダ・ヴィンチの中の人が書いたいわゆる"地の文"で、後半(太字部分)が森先生の発言になります。ここで言及されている『クレイドゥ』刊行前に明かされた内容というのは下記の文章のことと思われます。

MORI LOG ACADEMY 2007年06月17日(日曜日)より

 もうすぐ、このシリーズの5冊めの「クレィドゥ・ザ・スカイ」(中央公論新社刊)が書店に並ぶ(23日くらいらしい)。今度はどんな空だ? と楽しみにしている方には、少し申し訳ないが、5冊が並んだ写真をご覧に入れよう。
 そして、お気づきだと思うけれど、このシリーズの正しい並び方は、この写真のとおりである。「クレィドゥ・ザ・スカイ」は最後に発行されたが、最終巻ではない。「スカイ・クロラ」が最終巻だ。ノベルスや文庫が出揃ったあとには、このシリーズを読む人は、「ナ・バ・テア」から読むことになるだろう。いつも書いているが、シリーズを順番どおり読まなくても問題はない。それを示すために、意図的に最終巻から出した。2カ月まえの近況報告で、「ちょっとした発表がある」と書いたのは、このことである。

 ここで明かされているのは『スカイ・クロラ』が"最終巻"であることであって、決して時間軸上で最後という表現はしていないのです。ダ・ヴィンチの文章も会話形式ではなく、インタビュー内容の合間に地の文を付け加える形で編集されているものなので、森先生が時間軸上云々の文章を肯定する意図で発言しているわけではないと思われます。

 それはこじつけではないのか、『クレイドゥ』エピローグは明らかに『クロラ』冒頭につながる描かれ方がされているじゃないか、という意見もあるでしょう。ここで改めて、シリーズの元ネタであるという『ロスト・ハイウェイ』がどのような構成だったか考えてみたいのです。

3-3 『ロスト・ハイウェイ』からの作品構成考察

『ロスト・ハイウェイ』もまた、時系列については一見よくわからないまま進んでいくのですが、特徴的な構成として、作品の最初と最後で「一見同じシーン」が挿入されているという点があります。

 冒頭で主人公は自宅の室内でインターホン越しに誰かから「ディック・ロラントは死んだ」という不審なメッセージを聞きます。しかし、ラストシーンで、自宅外からインターホンに向かってその台詞を発するのは主人公自身なのです。『ロスト・ハイウェイ』では、このラストシーンによって主人公が妄想から抜け出せず、形を変えて回想をループしていることを示唆しているように思えます。

 もし『スカイ・クロラ』シリーズが『ロスト・ハイウェイ』から受けている影響というのが作品構成的なものを指しているとすれば上記の「インターホンのメッセージ」にあたるモチーフが「カンナミの兎離洲基地への転属」になるのではないでしょうか。

 再考Re第1回の仮説を踏まえるとするならば、カンナミという人格が持っている実際の連続した記憶は『クロラ』で兎離洲基地に配属された以降のものであり、それ以前の記憶は創作に基づく断片的なものにすぎません。もし、『クレイドゥ』終盤の非武装地域での戦闘~相良殺害以後、カンナミが復帰することなくそのまま入院してしまったとしたら、"彼"の回想する記憶は、『クロラ』~『クレイドゥ』の物語をループするものになる、とは考えられないでしょうか。

 『クレイドゥ』エピローグはそのための"つなぎ"として創作された記憶であるとすれば、例えばそこでカンナミが男性と同室であることなども、あっさり説明がついてしまうのです。

 『スカイ・クロラ』シリーズはもともと全3作で構想されていたとのこと。つまり『ナバテア~ダウンツ』が過去編であり、『クレイドゥ』『クロラ』でループ構造をつくることこそがロスト・ハイウェイのオマージュとしてもっとも重要な部分だったのではないかと思えます。

ダヴィンチ2008年8月号より

本来このシリーズは3部作で構想したものだという。したがって『ナ・バ・テア』と『ダウン・ツ・ヘヴン』、『フラッタ・リンツ・ライフ』と『クレイドゥ・ザ・スカイ』が本来は一冊になるはずだった。しかし『ナ・バ・テア』の執筆段階で内容が膨らんだために、各巻を分割することになった。シリーズはその5冊で完結するはずだったが、映画公開に併せて本来予定のなかった短編集『スカイ・イクリプス』が刊行された。

※ダ・ヴィンチの中の人は『フラッタ』『クレイドゥ』をまとめているようですが、主人公の違う『フラッタ』は空白の時期を埋める別視点での補完ということで1冊増えたとみるべきではないかと。

3-4 『クロラ』『クレイドゥ』の時系列について、時間経過からの考察

 ここまでは作品の外からの考察でしたので、作品内からの検証もしてみましょう。先に前の章と同じく、時系列を整理した表を貼っておきます。

クレイドゥ時系列
クロラ時系列

 さて、ここで着目したいのは<クロラP69>でフーコが"トキノは1年くらいここにいる"と述べている点です。周囲の人間に訊けばわかる内容について、大幅な嘘をつく理由はあまりないと思いますので、これをおおむね信じることにしてみます。実はこのセリフ『クロラ』→『クレイドゥ』と考えれば整合しますが、『クレイドゥ』→『クロラ』と考えると整合しないのです。

並べ替え

 フラッタ前後の時期の推定は、これと並べて再考第2回の時系列まとめを見ていただくとわかりやすいかと。『クレイドゥ』→『クロラ』と考えると、時間経過は上表のようになり、トキノがいる期間はむしろ"2年くらい"かそれ以上ということになります。従って、この観点でもやはり『クロラ』→『クレイドゥ』と考えたほうが確からしい、と言えると思います。

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