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スカイ・クロラシリーズ再考 第4回 - 2014.03.02 Sun

4-1 『クロラ』の時期に関する補足

 『クロラ』が『フラッタ』で栗田が基地を去った直後でないということについて、補足説明をしておきたいと思います。クサナギの台詞「栗田が基地に来たのは7か月前<クロラP89>」、笹倉の台詞「1週間前<クロラP78>」(死んだ時期とも、いなくなった時期とも取れる)によってミスリードを誘っているわけですが、『フラッタ』で栗田が基地を去ったのが冬、『クロラ』は夏ということで、まず季節が異なるのです。

 そして、考察Re第1回の通り、カンナミは草薙の別人格と考えるならば、作中のクサナギの台詞はカンナミにとって都合のよいものに変換されている可能性が高いです。栗田が入院によって基地を去った時点、というのがカンナミにとって都合がいい設定だったと考えられます。

 また、消極的な根拠としてフーコの台詞「貴方が来たってことはジンロウは死んだってことだよね<クロラP68>」があります。1週間前まで栗田が基地にいたと考えると、1週間程度娼館に来ないからといって死んだと考えてしまうのは不自然なのです。栗田は撃墜したとき娼館に行くことにしていましたが<フラッタP64>、2週間で一度も交戦にならないのは普通の頻度<クロラP83>なのですから。


4-2 栗田の死亡時期に関する考察

 ここまでの考察内容を踏まえるなら、『クロラ』直前、笹倉のいう「一週間前」に草薙が栗田を撃ち、それによって栗田は死んだ、と考えるのが自然です。この想定は、『クロラ』終盤で三ツ矢が「草薙から直接栗田を殺したことを聞いた」と話している点、『クレイドゥ』で杣中が同様の内容を話している点とも時期的に矛盾しません。また、次の2点に説明がつくことが大事な点かと思います。

 1点目は、草薙の中でカンナミの人格が顕在化した理由。『ロスト・ハイウェイ』へのオマージュでもありますが、栗田を殺した記憶がない人格として作られたのがカンナミの人格と考えられます(だからこそ、カンナミの中の時期の設定は「栗田射殺前」で「基地に栗田がいない」時期になったのではないかと)。

 もう1つは、土岐野がカンナミをフーコの館に連れて行った理由です。草薙がフーコと親しくなるきっかけと言い換えてもよいでしょう。土岐野は面倒見のいい性格とは思いますが、<フラッタP63-64>で栗田が「一緒に来たのは珍しい」と述べているように、わざわざ他人と(ましてカンナミ=草薙であるなら尚更)一緒に娼館に行こうとするような人物ではなさそうです。では、カンナミを連れて行ったのは何故か。

 草薙が栗田を射殺する前、部屋に居合わせた娼婦がフーコだった可能性は高いでしょう。草薙は動揺のあまり、逃げるように現場を立ち去ってしまった(『ドール・グローリィ』)。だから、フーコに口止めやら事情の説明をするため、土岐野に娼館に連れていくよう頼んだと想定できるのです。それをカンナミ視点で回想すると『クロラ』の内容になったということではないでしょうか。草薙はかつて一度訪れていますが、夜で、しかもティーチャの運転であったため、道は覚えていなかったでしょう。

 この想定は「貴方が来たってことはジンロウは死んだってことだよね<クロラP68>」という台詞の説明にもなると思います。フーコにとって栗田仁朗が『フラッタ』以降会っていない存在であるなら、半年近く経った『クロラ』の時期にこの台詞は不自然です。


4-3 『クロラ』作中描写の検証

 再考Re第1回で、「カンナミ」は草薙の別人格であり、周囲の人物にとっては「カンナミ」が草薙として認識されている、という仮説を提示しました。これをベースにしたとき『クロラ』作中シーンはどのように解釈されるでしょうか。検証の前に、クサナギとカンナミの人格がどのようなものか、仮定しておきましょう。

ルール

 これを前提に『クロラ』を読み返してみます。下表の(1)ではクサナギ/カンナミ二重人格説を裏付けてくれそうな描写を、(2)では単純に解釈しづらいと思われる描写をピックアップしてみました。

スカイクロラ検証

 ①②などは過去の考察であまりきれいに説明できていなかった部分です。これらの点を説明できるということで、基本的な考え方はあっているのではないかと、思えました。一方、数はだいぶ減りましたが、⑤~⑦のように何らかの解釈をしないと成立しないシーンも依然として残ります。『クロラ』がカンナミの一人称の回想形式であるため、草薙の描写に対してさまざまな解釈が可能だからです。

 1つ僕なりの仮定を追加してみます。「カンナミの人格では基地の上司と直接会っていない」のではないか、というものです。上記表①の甲斐の場合と同様、上司と会っていたのはクサナギの人格のときだけと仮定すれば、カンナミの回想において草薙の上司の存在が認識されていない理由にもなると思います。

 その場合⑥の可能性3は消えます。⑥については、「緊急の格納庫が幾つか~飛べない飛行機を隠すために使われていたようだ<クロラP114>」という描写をわざわざ入れているところからすると、カンナミ機は実際には退避していなかったという解釈が妥当ではないでしょうか。

 ⑦は可能性1、2のどちらとも考えられると思います。作者的な正解が設定されていない点もありそうなので、本当はある程度ぼんやりと読むのが正しいとは思いますが。次回、三ツ矢や土岐野とのやりとり等、いくつかの点に関して、もう少し深く考えてみたいと思います。

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● COMMENT ●

クリタ射殺時に居合わせた娼婦がフーコか?

どうも、はじめまして。 
スカイ・クロラの考察をされているとのことなので、ついつい見入ってしまいました。

さて、タイトルの件ですが、クリタ射殺時に居合わせた娼婦がフーコか?についてですが、
これは、僕は管理人さんの意見とは真逆です。
その根拠ですが、そのとき出てきた娼婦は草薙と面識がないようなのです。
草薙の人相が全く変わっていたら、面識がないように見えるかもしれませんが。
僕の意見は、このときの娼婦はフーコではなく、アース・ボーンで話に出ていた娼婦なのではないか、
です。
とすると、もしかしたらフラッタの栗田は栗田ではないのかも?
娼婦とパイロットが1対1の関係である、というのも、何らかの解の鍵になるかもしれません。
いずれにせよスカイ・クロラは謎だらけです。
ではではご健闘をお祈りいたします。

Re: クリタ射殺時に居合わせた娼婦がフーコか?

 コメントありがとうございます。『ドール・グローリィ』での「クリタに会いにきた」「誰なの?あんた」(P210)というやりとりのことですね。

 僕は、この時点では「ドアが少しだけ開いた(P209)」という状態なので、中の人間は草薙の顔が見えない状態の会話だと考えています。フーコは『ナ・バ・テア』で草薙と顔を合わせてはいますが、このときはそこまで親しくはなかったはずですから、声だけではわからなかったと思うのです。栗田は声で察したようですが。

 補足ですが、栗田は「外に出て、背中でドアを閉め」ているので、フーコがこのとき草薙の顔を見ることができたかはわかりません。ただ、女である草薙が娼館を訪ねてくるなど、「栗田の上司として栗田が撃たれたときの話をしにくる」以外には考えにくいと思いますので、『クロラ』でのフーコの台詞はそれでも成立はするはずです。


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