スポンサーサイト - --.--.-- --

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スカイ・クロラシリーズ再考 第5回 - 2014.03.30 Sun

5-1 作中人物たちは、草薙の二重人格を認識していたか?

 カンナミ/クサナギを二重人格と考えたとき気になるのが、作中人物たちはその二重人格を認識していたのか、という問題です。

 三人称の『ドール・グローリィ』において、草薙は瑞季からも周囲の人間からも「カンナミ」扱いされていることは確かです。しかし、一人称の『クロラ』において、周囲からカンナミとして扱われている描写については、記憶の改変によるものである可能性が否定できません。特に幼い瑞季が空気を読んで姉をカンナミ扱いするのは違和感が大きいように思います。前回の検証表における③などは二重人格が認識されている前提の議論でしたが、改めて考えてみたいと思います。

5-2 三ツ矢について考えてみる

三ツ矢検証

 ②③からすると二重人格を認識していると思われるのですが、2点、おかしな点があります。

 1つは、「カンナミ=栗田の生まれ変わり」発言。二重人格と理解していながらの発言としては妙な発想です。三ツ矢自身が"自分の妄想"と自覚している、という流れでの発言とすれば、絶対におかしいとは言い切れませんし、カンナミという人格が現れた理由を考えれば、むしろ本質に近いとも言えるのですが……。

 2つ目は、「草薙が子供を生んだ」発言。以前、土岐野が瑞季について「妹じゃなく娘だ」と述べているので、カンナミは(読者も)自然に受け取っていますが、瑞季が実際に娘でないのは『ナバテア』からの時間経過を考えれば明らかです。三ツ矢はこの土岐野の発言を耳にしておらず、瑞季と直接面識もないのですから、素直に考えればこれは瑞季のことではありません。

 まるで「草薙が子を産んだことを本当に知っている」ように見えます。草薙の妊娠・出産は『フラッタ』で描かれているように機密であり、上司が話す理由はありません。あと考えられるのは"一昨日の夜<クロラP274>"に、クサナギ自身が話したという可能性ですが、はたして、草薙が部下になって間もない三ツ矢に自分のプライベートな過去を話すでしょうか。三ツ矢はちょっと"知りすぎ"なのです。


5-3 土岐野について考えてみる

 土岐野に関しては煙に巻くような物言いもあいまって、三ツ矢以上に解釈しづらいです。しかし、三ツ矢同様に"知りすぎ"と思える点がいくつかあります(下表の②③)。

土岐野検証

 もし、彼らの"知りすぎ"な発言は実際にはなく、記憶の改変によるものであるならば、なぜそうした改変がされたのでしょうか。そこで語られているのはカンナミが知らないことにしている草薙本来の記憶とも言えるわけで、それは草薙自身の深層意識の表れかもしれません。


5-4 『クロラ』の物語構造再考

 かつて比嘉沢が死んだ後、草薙はその夜の自分の行動が比嘉沢のものではないか、と考えたことがありました。「カンナミ=栗田の生まれ変わり」という三ツ矢の発想は草薙の思考と非常によく似ています

 また、カンナミは自身をキルドレだと思い込んでいますが、実際にはこの時点で草薙はキルドレではありませんでした。三ツ矢の「自分がキルドレかわからない」「いつからパイロットになったのか思い出せない」という自我の不安定さは、カンナミの意識とクサナギの認識のずれが表出したものとも解釈できます。

 三ツ矢や土岐野といった周囲の人々の発言には時として草薙の深層意識が投影されている、と考えてみましょう。その場合、前回の検証③(作中人物たちがカンナミのことを探るようなシーン)についても、別の解釈が成立します。作中人物が草薙の二重人格を知らなくても、草薙の深層意識がカンナミの組み替えた記憶に疑問を呈している、という構造が成立するからです。

 そのレベルで記憶の組み換えがなされているのであれば、結局のところ、"カンナミ"人格が周囲に認識されていなかった可能性は高いと思います。(5-3①で穿った見方をすると土岐野だけは認識していたという説もありか?)。

 身も蓋もないことを言ってしまえば、「カンナミの人格がその時点で草薙の内面にはっきりと存在していた」のか、そもそも「後になってから、カンナミらしい記憶だけを再構築し直した」のかさえ、どうも結論づけられそうにありません。後者だとすると、これまでの考察の半分くらいが無駄かもしれないのですが……。少なくとも、自殺をする際に頭ではなく胸を撃たせた"何か"は彼女の中に存在していたのではないでしょうか。

 
 ……さて、着地点が当初想定していたよりもだいぶずれてきた感があります。『クロラ』は妄想比率がかなり高く『ロスト・ハイウェイ』的解釈になってきましたが、一方で、「パイロットだった草薙がそうでない草薙を受け入れる」という『ファイト・クラブ』的なテーマは依然として成立していると言えそうです。

 大枠はここまで、といったところですが、あとは『クロラ』で考察し残したところや『イクリプス』で気になる点、まとめ等を次回やって、終わりにしたいと思います。すでにぐだぐだになりつつありますし……。

スカイ・クロラ考察 TOPへ

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://croakcrawlers.blog7.fc2.com/tb.php/231-8762c7a2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

スカイ・クロラシリーズ再考 第6回 «  | BLOG TOP |  » スカイ・クロラシリーズ再考 第4回

Profile

Author : CroaK

Since 2008.9.27.

ブログの中身は上のメニューから。

管理人へのご連絡等ありましたらコメント欄にお願いいたします。

Access Count

Categories

このブログについて (1)
日々雑記 (68)
スカイ・クロラ (19)
アニメランキング (13)
アニメレビュー (19)
映画感想 (27)
電子ピアノ (25)
カーデザイン (17)
イラスト (7)
楽譜 (7)
特集記事 (5)
音楽 (1)

Tag

アニメ 音楽 日記 読書 小説 部屋 漫画 楽器 映画 

Archives

Recent Entries

Recent Comments

Search

RSS

QR

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。