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[名作アニメレビュー] N・H・Kにようこそ - 2008.12.14 Sun

 この作品を見て「バカバカしい」と笑い飛ばせる人も少しはいるかもしれない。一方で、この作品が痛々しくて見ていられない、という人もいると思う。僕はというと、部分部分で笑ったりほろりとしたりしながら、どこか複雑な心境で自分を鑑みてしまう。そんな完全に他人事にはできない空気感が漂っている作品だと思う。

 引きこもり歴4年、佐藤達弘。彼の前に現れた謎の美少女、中原岬は佐藤を自分のプロジェクトに誘う。「佐藤君を救ってあげる」という彼女の目的はよくわからない―――。

作   品   名 総合評価 テーマ
構 成
脚 本
キャラクタ
動 画
演 出
背 景
美 術
音 楽
N・H・Kにようこそ 8.4
→2006年アニメランキングはこちら

 引きこもり、ニート、オタク、薬物依存、自殺、ネットゲーム上の人間関係、マルチ商法詐欺・・・。様々な社会問題に触れているようでいて、物語の骨格は鬱屈した青春を送る(あるいは送ってきた)すべての人たちに向けた青春ドラマという色合いが強いです。

 まあ、青春なんて多かれ少なかれ鬱屈してるものだし・・・そう考えると意外と万人向けかも。岬ちゃんのカワイさも万人向けだし……。癒されます。なごみます。

 主要登場人物たちが、皆どこかしら病んでいるけれど、それらが妙にリアリティがある。というか、そういった人たちと「普通の」人たちの境界なんて曖昧なものだというのもテーマのひとつなんでしょう。

 シリーズ全体の構成もうまく、いくつかの展開が形を変えて繰り返されているのが、印象的。中盤以降、(主に山崎によって)何度か繰り返される「終わりなきありふれた日常」とどう折り合いを付けていくかという主題に安易な解決をつけなかったのも、僕にとっては説得力があるものでした。

 音楽についても触れておきます。パール兄弟が手がけた音楽は、機会があれば是非サウンドトラック(2枚)を聴いてほしいです。本編は歌がカットされたバージョンが多いけれど、気だるいロックからフュージョンっぽいポップスまで聴き応えがありました。

 最後に個人的BEST3エピソードの感想です。
ネタバレ注意!
第13話 天国にようこそ!

 自殺オフ回のハイライト。周囲の人間を止めるかと思いきや、相変わらず流されまくる佐藤(笑)。まあ、先輩の「生まれ変わることができたら、またトランプに付き合ってね」なんて、破壊力抜群でつい付き合いたくなるのもわかります。今回は引用多めで感想を。

○「彼女なし、収入なし、根性なし」。笑えるけど、終盤佐藤が自殺をしようとするのが決してギャグ、もとい衝動的なものではない、という話。最終話での岬ちゃんもそうだけれど「自殺」というのは、未来に希望が持てない人にとって、確実に選択肢のひとつなのだから。

○「僕には君が必要なんだ、結婚しよう、瞳」。こうした場面で、相手が心底欲している言葉がわかる城ノ内さんは出来すぎた人です。しかし間髪入れずに「その言葉を待っていたの」という先輩は酷すぎる(笑)。

○「佐藤君は路傍の石なんかじゃないよ。人間だもの。そうよ、血も肉もあるダメ人間だもの。私が初めて見つけた、私よりよっぽどクズなゴミ人間だもの。野良犬よりみじめなヒッキーだもの。だから私には絶対佐藤君が必要なんだもの。だから死んじゃだめぇ・・・、絶対!」
 感動的なBGMと相まって、余計死にたくなる佐藤。けど、第6話カウンセリング時の会話テクニックと合わせて、岬ちゃんの内面を推し量ると結構泣ける。

○「僕らには自殺なんてドラマチックな事件に関われる資格はありません。どんなに落ち込んでも苦しんでも、いつものバカバカしい日常に帰ってくるだけです。もし帰って来られなくても、どこかでバカバカしく死ぬだけです。ドラマチックな死は僕らにはふさわしくありませんよ」
 山崎が語るこの言葉はこの作品の一番のテーマでしょう。自殺を止めるための「綺麗事でない」言葉。ラストで嗚咽する佐藤は、結構クるものがありました。

第20話 冬の日にようこそ!
第21話 リセットにようこそ!

 山崎との別れを描いたこの2話をまとめて感想。この作品で一番青春ものっぽく、叙情的なエピソード。

○決められたレールに反抗し東京に出てきたものの、父親が入院し、あっさりと実家に帰る決意をする山崎。これを見て、山崎ってすげえ、と思った。親に言われたとか責任感とか言い訳しないで、自分の意思でそれを選ぶ山崎はかっこいい。

○奈々子ちゃんと「決定的に」「ドラマチックに」別れる山崎。たぶんそれも東京での記念なんだろうけれど。でも奈々子ちゃんはいい子じゃないか。正直に話して遠距離恋愛でもなんでもすりゃいいのに、と思ってしまったのは、たぶん大多数の男性視聴者的見方。

○「ドラマには起承転結があって、感情の爆発があって、結末があります。僕らの日常はいつまでもいつまでも薄らぼんやりした不安に満たされているだけです」。その後の改札での別れのシーン~回想までは、バックの「陽炎列車」の曲と合わせて名シーン。

第24話 N・H・Kにようこそ!

 第19話の委員長の兄とも重なる第23話での佐藤の引きこもり脱出については、僕は感想を書きづらい。「食べるものがなくて、死ぬ勇気もなければ働くしかない」というのはある一面では真実だとは思うけれど。引きこもりに対する解決策の提示として一般化できるものなのか、僕にはわからない。

 最終話に関してはBEST3エピソードとは思わないけれど、ラストの佐藤の突撃のシーンについて、書いておきたいことがひとつ。

 最初は「いつもの佐藤の妄想」かと思った。第1話の最初とも重なるシーンで、ネット上の感想を見てもそういう風に書いているのがほとんど。けどたぶん、そうじゃない。あれは佐藤が岬ちゃんに見せたかったビジョンだ。

 「悪いのは日本ひきこもり協会だ」と他人のせいにする妄想をすることで精神の安定を図る佐藤と違って、悪いことを全部自分のせいにしてしまう岬ちゃん。

 だから、佐藤は「演技」によって一瞬でも岬ちゃんに「ラスボス=悪いことの原因」が存在すると思わせたかったのだ。ついでに「そのために自分が死んだ」という結果が残れば、岬ちゃんは、その一瞬の思い込みをずっと信じていられる。

 佐藤が死ぬことはなかったが、その試みは成功したように思う。岬ちゃんは一瞬確かにその怪物を見ていると思しき描写があるから。そして、だからこそ、岬ちゃんは救われた。時には悪いことを何かのせいにしながら、取り合えず縋るものを見つけながら、この先どうなるかわからない日常を過ごしていけるようになったのだ。

 それはたぶん、現実を生きている多くの「普通の」人と同じように。



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● COMMENT ●

お久しぶりです。

N・H・Kにようこそ!は、大槻ケンヂが好きなのでリアルタイムで観てました。

アニメをみたあとに、原作者の滝本竜彦をBSアニメ夜話「エヴァンゲリオン」でみたときは
やっぱり危ない人なんだな。 と思いました。
エヴァの熱狂的なファンで、入れ込み方がハンパなかった・・・。

いろんな意味で注目したアニメですが、大好きな作品です。

お久しぶりです!

BSアニメ夜話のエヴァの回は僕も以前、某所で見ました。

「超人計画」を読んだ後だったので、さすが綾波レイ似の脳内彼女を作っていただけある、と思いました(笑)。

爽やか系、まったり系な青春モノは多いですが、こんな鬱屈した青春モノもたまにはいいですよね。


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